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ディフェンダー110を買うと決めたとき、妻から最初に言われた言葉がこれだった。
「あの車、子ども連れで本当に使えるの?」
我が家には当時5歳と8歳の子どもがいる。チャイルドシートが必要な年齢を少し過ぎてはいたが、それでも「大型オフロード系SUVが日常のファミリーカーとして機能するか」は、購入前に真剣に考えたポイントだった。
前のクルマはAudi Q7。ドイツ車らしい精緻な室内、乗り降りしやすい低めのシートポジション、扱いやすいボディサイズ。ファミリーカーとしての完成度という意味では、正直あの時点で不満はなかった。それでもディフェンダー110に乗り換えたのは、「Q7では埋められない何か」を求めていたからだ。
乗り換えから約1年が経った今、「ディフェンダーはファミリーカーになれるか?」という問いに、オーナーとして正直に答えたいと思う。
乗り降りの「高さ問題」は本当に存在する
まず最初に触れておかなければならないのが、乗り降りの高さだ。ディフェンダー110のシートポジションは、Q7と比べても明らかに高い。車高はQ7が約1,740mmなのに対し、ディフェンダー110は標準車高で約1,970mm。地上高も高く、ステップを使わずに乗り込もうとすると、子どもには「よっこいしょ」が必要なレベルだ。
ただ、これは欠点と言いきれない。乗り込み時に少し手を貸すだけで、子どもたちは「秘密基地に入る」ような感覚で喜ぶ。8歳の長男などは、今では「手伝いなしで乗れる」ことを誇りにしている。
問題になりやすいのは、チャイルドシートを使う年齢の子どもがいる場合だ。座席高が高い分、チャイルドシートを装着した子どもを抱き上げてシートに固定する動作が、毎回の乗降で親への負担になる。特に雨の日の駐車場など、急いでいる場面では地味にきつい。
純正オプションとしてアルミ製のサイドステップが用意されており、これがあると格段に乗降しやすくなる。我が家のX-Dynamic HSEには最初からサイドステップが装備されていたため、子どもたちの乗り降りは思ったよりスムーズだった。後付けも可能なので、ファミリーユースを考えるなら最優先で検討すべきオプションだと思う。
チャイルドシートの装着性:ISOFIXの使い勝手を検証
2列目シートには標準でISOFIXアンカーが2カ所装備されている。コンパクトカーのように背もたれと座面のすき間が狭くて手が届きにくい、ということはなく、シート間のスペースが広いため装着作業は比較的やりやすい。
チャイルドシートメーカー各社がISOFIX対応機種の適合表を公開しているが、ディフェンダー110(L663型)は多くのメーカーから「適合」の認証を受けている。購入前に対象チャイルドシートの適合表を必ず確認してほしいが、一般的な日本仕様のISOFIXシートであればほぼ問題なく装着できると考えていい。
ひとつ注意点を挙げるとすれば、2列目中央席にはISOFIXがない点だ。3人の子どもがいる家庭で全員チャイルドシートを使う場合は、3列シート仕様か別の車種を検討する必要がある。我が家は2人なので問題なかったが、3人家族・4人家族で子ども3人という構成の場合はここを確認すること。
2列目の足元空間はどのくらい広いか
Q7の2列目も決して狭くはなかった。だがディフェンダー110の2列目は、Q7と比較しても遜色ない、というか同等以上の広さがある。ホイールベースは2,997mmで、日本で売れているプレミアムSUVとしてはトップクラスの数値だ。
8歳の子どもが2列目でゲームをしながら過ごせるくらいの余裕があり、シートリクライニングも可能。長距離ドライブで後ろの子どもたちが「せまい」と騒ぎ始めることは、今のところ一度もない。
荷室(ラゲッジ)の実力:家族旅行でどこまで積めるか
ディフェンダー110の荷室容量は、後席使用時で約1,075リットル(VDA法)。Q7が同条件で約890リットルだったから、数字の上ではディフェンダーが上回る。
ただし数字だけでは語れないのが荷室の使い勝手だ。ディフェンダー110の荷室は開口部が広く、ラゲッジボードが取り外し可能なため、縦に長い荷物もレイアウトの自由度が高い。テールゲートはパワー式で、手が荷物で塞がっているときも足でキックして開閉できる機能がついている(X-Dynamic HSEグレード)。
家族4人でのスキー旅行(我が家は昨シーズン妙高に行った)では、スキーバッグ2本・スノーボードバッグ1本・スーツケース2個・子どものリュック2個・チェーン・非常用グッズを荷室に収め、後席には子ども2人が余裕で座っていた。Q7でもそれなりに積めたが、荷物を縦置きで入れる自由度はディフェンダーのほうが高かった印象だ。
スペアタイヤ下のアンダーフロア収納
知っている人には当たり前かもしれないが、初めてのオーナーは気づかないかもしれないので書いておく。荷室のフロア下に追加の収納スペースがある。濡れたものや汚れたものを分けて入れる「汚れもの収納」として、子連れの外出では非常に重宝している。
砂浜で遊んだあとの濡れたサンダルや、キャンプ後の泥だらけのシューズカバーなど、「荷室に直接入れたくないもの」をここに押し込める。スペアタイヤがアンダーフロアに収まっているおかげで生まれる空間なので、ディフェンダー独特の恩恵と言えるかもしれない。
安全装備と子育てファミリーの相性
プレミアムSUVだけあって、ディフェンダー110の安全装備は充実している。ファミリーユースの観点で特に助かっていると感じるものをいくつか挙げたい。
リアシートリマインダー(チャイルドアラート)
降車時に後席への置き忘れを警告するシステムだ。エンジンをオフにすると「後席に誰かいませんか?」という旨のアラートが出る。「子どもを車内に置いたまま外に出てしまう」という事故の防止に有効で、海外では子どもの車内放置事故への対策として普及が進んでいる機能だ。正直、Q7には設定がなかった(当時のモデルでは)ので、この機能を使うたびに「現代の車はここまで来たか」と感じる。
360度カメラと低速操縦支援
全周囲カメラの解像度・視認性はトップクラスだ。特に商業施設の立体駐車場のような、柱が多くて見通しの悪い場所での駐車が格段に楽になった。Q7のカメラも悪くはなかったが、ディフェンダーのそれはより広角で、死角が少ない。
子どもたちが先に降りてクルマの周囲をうろうろするシーンは日常的にある。カメラで周囲を確認しながら出庫できる安心感は、ファミリーカーとして非常に重要な点だと思っている。
緊急自動ブレーキ(AEB)の性能
実際にヒヤリとする場面が1度あった。駐車場出口付近で、いきなり子どもが車の前を走ってきたとき。ブレーキを踏む前に車が反応し、停止した。テスト環境ではなく実際の場面での話なので、これ以上詳しく書くことはできないが、あの瞬間「この車を買ってよかった」と心から思った。
Pivi Proと家族利用:子どものナビ操作問題
ディフェンダー110に搭載されているインフォテインメントシステム「Pivi Pro」は、大型タッチスクリーンを中心とした最新のシステムだ。Apple CarPlayとAndroid Autoに対応しており、スマートフォンをUSBまたはワイヤレスで接続すればそのまま使える。
ファミリーユースで気になるのが、後席でのエンタメ環境だ。残念ながらディフェンダー110には後席向けのリアシートエンターテインメント(ヘッドレスト一体型モニターなど)はオプション設定がない。長距離ドライブでの子どもの暇つぶしは、基本的にiPadなどのタブレットに頼ることになる。
ただ、前席のPivi Proから音楽・動画の音声を後席にも流すことは可能なので、子どもが気に入った音楽や映画のサウンドトラックをスピーカー全体で流す、という使い方はできる。Bang & Olufsenのオプションサウンドシステムを入れた場合は、音質も十分ファミリーエンタメに耐えるクオリティだ。
維持費とファミリー家計:Q7との比較
「ディフェンダーに乗り換えたら家計が苦しくなるのでは?」という懸念は、購入前から妻との主要な議題のひとつだった。実際に1年弱乗ってみた感覚では、Q7時代と比べて月間コストが劇的に上がったわけではない。
燃料費の変化
D350(3.0リッターディーゼル)の実燃費は、街乗り中心で10〜11km/L前後、高速主体の長距離では13km/L前後だ。Q7(2.0リッターガソリン)は街乗りで8〜9km/L程度だったので、ディーゼルの恩恵もあってむしろ燃料費は下がった。軽油と軽油価格がガソリンより安いことも、経済的には有利に働いている。
保険料の変化
ディフェンダー110の保険料は公開記事でも触れているが、車両保険込みの年間保険料はQ7時代より若干上がった。車両本体価格が高い分、車両保険の保険料が上がるのは当然で、ここは家計への影響が比較的大きかった点だ。特にファミリー用途で複数人が運転する場合は、運転者の年齢や運転歴によって保険料が変動するため、事前に複数の保険会社で見積もりをとることを強くおすすめする。
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タイヤ交換コスト
これは正直、ファミリー家計には少し重い出費だ。純正20インチタイヤの交換費用は4本で20万円前後というのが現実で、Q7時代と比較しても高い。とはいえ交換頻度は乗り方次第で変わるし、タイヤの耐久性自体は十分あると感じている。「5年に1度の大きな出費」と割りきってしまえば、月換算では大きな差ではない。
ファミリー目線で感じた「ディフェンダー110の本当のメリット」
1年間ファミリーカーとして使ってきて、数字や機能スペックを超えた「感情的なメリット」を感じている部分がある。
子どもが車に愛着を持ってくれる
Q7に乗っていたとき、子どもたちが「うちの車」に特別な感情を持っているとは思えなかった。しかしディフェンダー110に替えてから、長男は友達に「うちの車はランドローバーのディフェンダーだよ」と自慢するようになり、次女は「ディフェンちゃん」という名前をつけた。
クルマへの愛着は、子どもたちの「車内でのマナー」にも影響している。「ディフェンちゃんを汚さない」という意識が芽生えたのか、食べこぼしや荷物の雑な扱いが以前より減った気がする。これは完全に余談だが、ファミリーカーとしての「精神的な効果」は案外バカにできない。
アウトドアが家族の共通テーマになった
Q7に乗っていた頃は、週末の家族のお出かきはショッピングモールが中心だった。ディフェンダーに替えてから、キャンプ・スキー・砂浜・川遊びなど、アウトドア系のお出かけが増えた。
「この車ならどこでも行ける」という感覚が、行き先の選択肢を広げる。林道の入り口で「ここ入っていいの?」と子どもに聞かれたとき「この車なら大丈夫だよ」と答えられる父親像は、Q7時代には正直なかった。
家族全員の「ちょっといい気分」
これは数値化できないが、ディフェンダーに乗っていると家族全員のテンションが微妙に上がる。エンジンをかけたときの低いディーゼルサウンド、少し高めの視点、背筋が伸びるような運転席。妻も最初は懐疑的だったが、今では「この車でよかった」と言ってくれている。
ファミリーユースで改善してほしいと感じる点
良い点ばかり書いてもフェアではないので、正直に不満点も記録しておきたい。
- 後席のリアエンタメがない:前述の通り、後席向けモニターがないため長距離移動での子どもの暇つぶし装備が弱い。タブレットスタンドやヘッドレスト取付型モニターのアフターパーツで補完するしかない状況だ。
- 後ドアの開き角度:スライドドアではなくヒンジドアのため、狭い駐車スペースでは後席への乗降に制限がかかることがある。コインパーキングで隣のクルマが近いとき、子どもを降ろすのに苦労する場面があった。
- 乗り降りの高さ問題(再掲):チャイルドシートを使う年齢の子どもがいる家庭では、乗降のたびに親が抱き上げる負担がある。純正サイドステップは必須と考えてほしい。
- 内装の素材感と汚れ:プレミアム素材を多用しているモデルでは、子どものお菓子くずや飲み物のこぼしが染みになりやすい。シートカバーやラバーマットの早期装着を強くおすすめしたい。
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結論:ディフェンダー110はファミリーカーになれる。ただし「ファミリー専用」ではない
「ディフェンダー110はファミリーカーになれるか?」という最初の問いに答えるなら、答えは「なれる。しかし、それだけではない」だ。
チャイルドシートの装着性、荷室の広さ、安全装備の充実度、後席の快適性。これらのスペックはプレミアムファミリーSUVとして十分以上の水準を満たしている。Q7から乗り換えて「ファミリーカーとしてのレベルが下がった」とは一切感じていない。
ただ、ディフェンダー110の真価は「ファミリーカーとしての利便性」の外側にある。どこへでも行けるという確信。週末の行き先を広げる走破性。家族の会話に「次はあそこに行こう」というワクワクをもたらすキャラクター。そういう「感情的な付加価値」をファミリーカーに求めるなら、これほど正直にその期待に応えてくれるクルマは少ない。
購入を迷っているファミリーへ、正直に伝えたいのはこの一言だ。
「ファミリーカーとして使えるか」を心配するより、「ファミリーとしてどんなアドベンチャーをしたいか」を先に考えてほしい。それが決まれば、ディフェンダーを選ぶかどうかは自然と決まる。

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