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ディフェンダー110を購入してから、毎日ステアリングを握るのが楽しくて仕方がない。でも正直に言うと、最初に「あれ?」と感じたのがインフォテインメントシステム「Pivi Pro」だった。
前車のAudi Q7には「MMI(Multi Media Interface)」という洗練されたシステムが搭載されており、物理ノブとタッチの組み合わせで直感的に操作できた。使い込むほどに手に馴染み、走行中でもほとんど視線を落とさずに操作できるのが気に入っていた。そのMMIの快適さに慣れ切った状態で初めてPivi Proのタッチスクリーンに触れたとき、「ランドローバーのフラッグシップSUVなのに、これで大丈夫か?」と一瞬だけ不安を感じたのは事実だ。
しかし、2025年に購入してから半年以上使い続けた今、Pivi Proに対する評価はかなり変わってきた。この記事では、Audi Q7(MMI)ユーザーがディフェンダー110に乗り換えて実際に体感した「Pivi Proの使い勝手」を正直にレポートする。良い点も悪い点も包み隠さず書くので、購入を検討している方にとってリアルな参考情報になるはずだ。
Pivi Proとは何か|ディフェンダーのインフォテインメント概要
Pivi Proは、ランドローバーが開発した独自のインフォテインメントシステムだ。ディフェンダー110(2020年以降のモデル)には標準装備されており、ナビゲーション・オーディオ・空調・車両設定・ドライバーアシストなど、車両の多くの機能をこの1つのシステムで統合制御する設計になっている。
スペック・基本仕様
- メインディスプレイ:11.4インチ曲面タッチスクリーン
- 解像度:1,404 × 1,404ピクセル(高精細IPS液晶)
- OS:Android Automotive OSベース
- Apple CarPlay / Android Auto:ワイヤレス接続対応
- ナビゲーション:HERE製地図(OTAによる地図更新対応)
- 4G / Wi-Fiコネクティビティ:標準装備
- OTA(Over The Air)ソフトウェアアップデート:対応
- 音声アシスタント:「Hey Land Rover」で起動
- サラウンドカメラ:3D鳥瞰図表示対応
スペックだけ見ると、かなり充実している。11.4インチの曲面ディスプレイは実際に見ると美しく、視認性も高い。問題は「スペック」と「使いやすさ」は別の話だということだ。それはQ7時代にも感じた真理だが、ディフェンダーでもまた実感することになった。
Audi MMIとの設計思想の違い
Q7に搭載されていたMMIは、物理ノブとタッチスクリーンを組み合わせたハイブリッド操作系だった。ノブを回せば音量が変わり、短押しで決定、長押しでメニューに戻る。走行中でも手元を見ずに操作できる設計が徹底されており、「ドライバーの視線を道路から外させない」というAudiの思想が随所に感じられた。
Pivi Proは基本的にタッチスクリーン操作がメインだ。ステアリングスイッチとの連携はあるが、細かい設定変更はほぼすべてタッチ操作が必要になる。この設計思想の違いが、乗り換え直後に「差」として最も感じやすい部分だと思う。良し悪しではなく、哲学の違いといった方が正確かもしれない。
Pivi Proの実際の使い勝手|良かった点3つ
① 画面の美しさと直感的なUI設計
率直に言って、画面のビジュアルクオリティは素晴らしい。11.4インチの曲面タッチスクリーンは色の再現性が高く、地図表示でも非常に見やすい。暗い車内でも輝度の調整が細かくでき、夜間走行中の目への負担も少ない。
ホーム画面のレイアウトも整理されており、初見でも「どこに何があるか」がある程度わかる設計になっている。Audiのように「あえて凝り過ぎない」UIが採用されており、Androidスマートフォンに慣れた世代にはむしろ馴染みやすいかもしれない。私の妻(普段iPhoneのみ使用)は「これ全然難しくない」と言っていたが、確かにその通りだと思った。
スワイプ操作でページを切り替えたり、長押しでウィジェットをカスタムしたりと、スマホ感覚で操作できる点は現代的で好感が持てる。Audiのような「作り込まれた高級感」とは方向性が違うが、これはこれで一つの完成形だと感じる。
② ワイヤレスApple CarPlay対応が地味に神レベル
これは思いのほか便利だった。Q7でもApple CarPlayは使えたが、ケーブル接続が必要だった。Pivi Proはワイヤレスで繋がるため、乗り込んで少し待つだけで自動的にiPhoneと連携する。
週末のドライブでGoogleマップを使いたいとき、ケーブルを探す手間がゼロになった。駐車場から出発しようとするときに「ケーブルが絡まってる」「接触不良で繋がらない」といったストレスが完全になくなった。細かいことのようだが、毎日積み重なると生活の快適度が変わる。ワイヤレスCarPlayに慣れてしまうと、もうケーブルには戻れない。これはQ7からの乗り換えで得た、間違いなく一番大きなアップグレードの一つだ。
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③ OTAアップデートで確実に進化し続ける
Pivi Proは購入後もOTAでソフトウェアをアップデートできる。私が2025年に購入してから、すでに数回のアップデートが届いており、UIの改善やバグ修正、新機能の追加が行われた。
購入当初は少しモタつく感があったナビの起動速度も、アップデート後に改善された。空調操作のメニュー構造も整理され、初期と比べると使いやすくなっている。「買ったときが完成形ではない」という設計思想は、スマートフォンに慣れた現代人には受け入れやすいはずだ。車を「育てていく」という感覚が生まれるのも、ディフェンダーオーナーならではの体験だと思う。
Q7と比べて正直に感じた3つの差(不満点)
良い点を書いたので、次は正直に「不満」も書く。ここが購入検討者にとって最も参考になる部分だと思うので、忖度なしで記す。
① レスポンスの遅さとたまに起きるフリーズ
Audiのような動作の「なめらかさ」が、Pivi Proには常時あるわけではない。特に納車直後は、タッチ操作に対するレスポンスが若干遅く感じた。空調操作やナビの目的地入力で「ラグ」を感じることがあり、Q7から乗り換えた直後は違和感が大きかった。
また、数か月に一度程度ではあるが、画面が一瞬フリーズすることがある。走行に支障はないし、すぐに復帰するが、フラッグシップSUVとして考えると「まだ完成品ではないな」という印象を受けた。OTAアップデートで改善されてきているとはいえ、Audiのシステムの安定感と比べると、まだ差があると感じる。
② 純正ナビより結局Apple CarPlayに頼ってしまう
Pivi ProにはHERE製の純正ナビが搭載されており、地図表示は美しく基本機能も十分に揃っている。しかし渋滞情報のリアルタイム精度と、使い慣れた操作感においては、GoogleマップやApple MapsをCarPlay経由で使うほうが明らかに実用的だ。
結果として私は毎回Apple CarPlayでGoogleマップを立ち上げて使っている。高価なHERE製地図が搭載されているにもかかわらず、純正ナビはほとんど活躍していない状態だ。ランドローバーとしては純正ナビを推したいだろうが、日本のユーザーにとってはCarPlayが事実上のデフォルトになっているのではないだろうか。この点ではQ7も似たような状況だったので、これは国産・輸入車問わず「あるある」かもしれない。
③ 空調・シートヒーターの操作がタッチ画面に集中しすぎ
これが個人的に最も気になる不満点だ。Pivi Proでは、空調の温度・風量・シートヒーターのON/OFFなど多くの操作がタッチスクリーン経由に集約されている。Q7には物理ボタンが充実しており、視線を道路から外さずに操作できた。
ディフェンダーの場合、シートヒーターをONにしようとすると、ホーム画面→空調メニュー→シートヒータータブという手順を踏む必要がある。慣れれば問題ない操作だが、走行中に素早く行おうとすると一瞬視線が奪われる。冬場のシートヒーター操作は頻度が高いので、ここだけは「Q7のほうが使いやすかった」と率直に思う部分だ。ただし、後述するホーム画面カスタマイズでショートカットを設定することで、ある程度カバーできる。
「Hey Land Rover」音声操作の実用性
Pivi Proには「Hey Land Rover」というウェイクワードで起動する音声アシスタントが搭載されている。ナビの目的地設定、電話発信、音楽再生といった操作を声でコントロールできる機能だ。
実際に使ってみると、認識精度は日本語でも悪くない。「Hey Land Rover、次のPAまでナビして」「Hey Land Rover、温度を22度にして」といった基本的な命令は、概ね正確に認識してくれる。特に運転中に両手が塞がっているときは助かる機能だ。
ただし、細かい表現の揺らぎには弱く、意図と違う操作をされることもある。Siriや Googleアシスタントほどの文脈理解能力はなく、使い続けて学習するわけでもないため、「補助ツール」として割り切った使い方が向いている。現実的には、CarPlay経由でSiriを使う方が確実で使いやすいケースが多い。
Pivi Proの設定でやっておくべきカスタマイズ
使いやすさを高めるために、私が購入後すぐに設定したことをまとめておく。同じく乗り換えを検討している方や、最近納車された方には特に参考にしてほしい。
ホーム画面のショートカットを最初に設定する
Pivi Proのホーム画面は、よく使う機能をショートカットとして配置できる。シートヒーター・ステアリングヒーター・デフロスターのショートカットは最優先で設定しておこう。これだけで空調系の操作ストレスが大きく軽減される。
設定方法はホーム画面のウィジェット長押し→カスタマイズから行う。スマートフォンのホーム画面のカスタマイズと同じ感覚でできる。最初の30分でこの設定をするかしないかで、その後の使い心地がかなり変わる。
画面輝度の自動調整をONにする
デフォルト設定では画面輝度が日中でも若干高すぎる場合がある。自動輝度調整を有効にしておくと、トンネル進入時や夜間走行時に画面が自動で暗くなり、目への負担が軽減される。また、ナイトモードへの切り替わりタイミングも手動調整できるので、自分のドライブスタイルに合わせて設定しよう。
Apple CarPlayの初回ペアリングはケーブルで
ワイヤレスCarPlayを使う場合、最初の1回だけケーブルで接続してペアリングを完了させる必要がある。その後は車に乗り込み、iPhoneのWi-FiとBluetoothを両方ONにした状態で待つだけで、30秒ほどで自動的にワイヤレス接続される。この初回設定を終えてしまえば、あとは完全に自動で繋がるので非常に快適だ。
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Meridianサウンドシステムとの統合体験
私が購入したX-Dynamic HSE D350には、Meridianの上位サウンドシステムが搭載されている。Pivi Proのオーディオ画面からイコライザーやサラウンドモードを細かく調整できる設計だ。
Audiのバング&オルフセンシステムと比較すると、Meridianはより「正確で解析的な音」という印象だ。どちらが好みかは個人差があるが、クラシックやジャズを好む人にはMeridianの解像感が刺さるかもしれない。Pivi Proのオーディオ画面から細かく音場を調整できるため、車内を自分好みの「音楽空間」にカスタマイズできる点は嬉しい。
ただし、Pivi Proのオーディオ設定画面はやや深い階層に格納されており、初めては少し迷う。ここもCarPlayのApple Musicから操作する方が直感的だと感じる場面が多かった。
Pivi Proが光る瞬間|オフロードとの連携
Pivi ProとTerrainレスポンスシステムの統合は、ディフェンダーならではの体験だ。画面上でドライブモード(マッド、サンド、グラス、ロック、スノーなど)を選択すると、車両のサスペンション・トルク配分・ブレーキ制御が自動的に最適化される。このシームレスな連携はAudiのMMIにはない、ディフェンダー固有の価値だ。
特に冬の北陸ドライブや林道走行時に、Terrainレスポンスの選択画面がPivi Proの大画面でわかりやすく表示されるのは頼もしい。「今自分がどのモードで何が制御されているか」が視覚的にわかるUIは、オフロード初心者でも安心感を持って操作できる設計だ。インフォテインメントとドライブシステムの統合において、ここはディフェンダーが他のSUVに差をつけている部分だと感じた。
結論|Pivi Proは「使い込むほど好きになる」タイプのシステム
最初に感じた「Q7のMMIのほうが完成度が高い」という印象は、今も完全には覆っていない。操作のなめらかさ、物理ボタンの多さという点では、Audiに一日の長がある。これは正直に認めるべき事実だ。
しかし使い込んでいくうちに、Pivi Proの「設計の思想」が少しずつ理解できてきた。スマートフォンのようにOTAで進化し続けるシステム、ワイヤレスCarPlayの快適さ、11.4インチ大画面の圧倒的な視認性、そしてTerrainレスポンスとのシームレスな統合。これらはAudiのMMIでは得られない体験だ。
Q7とディフェンダーが車としての性格をまったく異にするように、インフォテインメントの設計思想も根本的に違う。どちらが優れているかではなく、どちらの哲学が自分のライフスタイルに合っているかという話だと思う。
ディフェンダー110を真剣に検討しているなら、Pivi Proの「最初の違和感」を怖れないでほしい。3ヶ月も乗れば体が慣れ、OTAで改善も続く。少なくとも私は今、Pivi Proを「嫌いではない」から「これはこれで良い」へと気持ちが変わっている。
まとめ|Pivi Pro評価の総括と購入前チェックリスト
| 評価項目 | Pivi Pro(ディフェンダー110) | MMI(Audi Q7・比較) |
|---|---|---|
| 画面の美しさ | ◎ 11.4インチ曲面で高精細 | ○ 洗練されたデザイン |
| 操作レスポンス | △ 若干遅い場面あり | ◎ 非常にスムーズ |
| Apple CarPlay | ◎ ワイヤレス対応 | △ ケーブル接続が基本 |
| 純正ナビ精度 | ○ 基本性能は十分 | ○ ほぼ同程度 |
| 物理ボタンの充実度 | △ タッチ操作中心 | ◎ 物理ボタンが豊富 |
| ソフトウェアの進化性 | ◎ OTA対応で継続改善 | △ ディーラー更新が基本 |
| オフロードシステム統合 | ◎ Terrainレスポンスと一体化 | — 該当機能なし |
ディフェンダー110のPivi Proは、完成品ではなく「成長するシステム」だと割り切るのが正解だ。最初の違和感は半年で慣れ、OTAで確実に良くなっていく。それを受け入れられるなら、インフォテインメントが購入の障壁になることはないはずだ。
一方で、物理ボタンでの操作を重視する方、システムの安定感を最優先にする方には、Pivi Proが合わないと感じるリスクも正直あると思う。だからこそ、試乗時には必ずPivi Proを実際に操作してほしい。空調の切り替え方、ナビの目的地入力、CarPlayの接続感を自分の手で確かめてから判断することを強くすすめる。
ディフェンダー110という車の魅力は、インフォテインメントの完成度だけでは語れない。走りのたくましさ、オフロード性能、あのスタイル。それらすべてが揃った車を手に入れたとき、Pivi Proの「少しの不満」は確実に許せるようになっている。私はそう感じた一人だ。

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